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ずっと望んでいたことだった。




「近衛さん、青ってどんな人なんですか?」

訪ねるその目には憧れと好奇心と・・・畏怖の念。
近衛と呼ばれた男は「ん~・・・そうだなあ」と苦笑しながら頭を掻いた。
アッシュの髪にサングラス。顔立ちは整っているのだがその軽薄な雰囲気が彼を二枚目ではなく二枚目半に見せている。
青・・・青がどんな人、ねえ。
もやもやと脳裏に青い髪の少年の姿が浮かぶ。何と答えても完璧な正解は無い気がする。
「とりあえず男にしとくには勿体ない美人だな」
大真面目な顔で言うと、相手は軽薄な男らしい答えに「はあ・・・」とそうじゃないんだけどとでも言いたげな声を出した。
「おい疑ってるな?美人なのは間違いないぞ?」
むしろそれくらいしか伝えられる情報がないし。




青については、よく聞かれる。なにせうちのボスは有名人だ。
だがその実体を知る者は少ない。
一般的なイメージといえば、完全無欠で冷酷非情。味方につければ希望を、敵に回せば死を意味する、豪華絢爛な青い伝説。
他にも・・・まあ、色々と通り名はあるようだが・・・。大体スーパーヒーローか魔王かといった感じの話が伝わっている。
まさか本人がふりふりエプロンで料理をしているとは思うまい。

青こと、厚志は困った奴だ。
よく笑うしよく泣くしよく怒る。
よく拗ねるしいじけるし我侭ですぐ甘えたがる。
情緒不安定で寂しがり屋。気まぐれでド天然。
料理と裁縫が好きで、将来の夢はお嫁さん。
・・・要するに、子供である。たまに幼児にすら見える。
だが子供っぽいとか未熟だとか、普通の人間をそう評するのとは微妙に違う。あれはそういう問題ではないのだ。
厚志は1000年以上生きている男から見て、心のどこか大事な部分が欠けてしまっているように見える。
どうやら情緒が成長する過程で大きな問題があったらしい。いや、もっと前・・・“作られた時点”で既に、おかしかったのかもしれない。
厚志の中には警戒心が強く狡猾で非情で残酷な面と、子供のような情緒が歪んだ形で共存してしまっている。
これは成長すればどうにかなるようなものではない。
出会ったころの厚志はそんな自分を全て隠して優等生を演じていた。あの頃の厚志の可憐さとかわいらしさときたら何にも例えがたく・・・話すと長くなる。
その必要がなくなった今、厚志は、自由だ。
守りたいものを守り、目的はどんな困難も全てぶち壊して達成する。怒る様はまるで台風のよう。そして甘える姿は・・・・

とにかく、男はそんな彼の騎士である。彼には最初に出会った時に名乗っていた瀬戸口隆之という名で呼ばれることが多い。
今回も彼からの指令で異世界に来ている。
そんな時だった。青に大変なことが起きたと知らせが来たのは。



瀬戸口は焦っていた。
一刻も早く厚志の元へ帰らねばならない。

青の厚志は、基本的に護衛など必要としない人である。
まず、単純に戦闘能力が高過ぎる。世界の意識子であるリューンに愛されている青は瞬時にそれを物理的な力へと変換する。
ただ殴るだけ。それだけで大抵のことは片がつく。シンプルな強さほど対策が難しいものはない。
なのになぜたまに護衛などという名目で同行するのかといえば、寂しいからなどというこれまた大変シンプルな理由だったりする。
『隆之が一緒に来てくれないとヤダ』
なんて言われたらデートの予定があろうが何だろうがついていくしかない。
世界の危機を救うのも、戦争も、料理を作るのもセックスをするのも、厚志は全て同列の価値観で並べてしまう。
厚志にとってはどれも大事な人と一緒にいるための、大事な人に喜んでもらうための行動にすぎない。
一人で片付く仕事だから一人でもいいという問題ではないのだ。

そんな青が敵の策略で身体的に大変なことに、などという知らせは瀬戸口にとって寝耳に水であった。
精神的な面以外ほとんど心配していないうちのボスが。
狙われることは初めてではないけれど、手を触れることすら許さず倒してきたうちのボスが。
居ても立ってもいられるはずがなく男は手紙を途中まで読んだ段階で青の元へ向うしかなかった。

嫌な記憶が脳裏を掠める。
あの人を失った時も、こうして知らせを受けてから駆けつけた。ずっと傍にいればよかったのに。
鎖で手足を繋がれたあの人の亡骸。冷たい手。
唇を噛む。
あんな思いは二度とごめんだ。




そびえ立つ高層ビル群。そのひとつ。
裏口から守衛に止められることもなく入りエレベーターで地下に降りる。
表向きはコンピュータゲーム会社の本社ビルだが、この世界のガンプの拠点でもある。
世界移動したばかりで頭がくらくらしたがそんなことは今はどうでもいい。
小走りで廊下を進む。すると、奥に見知った顔を見つけた。片手を挙げる。
総髪の端整な顔をした男は同じく騎士である遠坂圭吾だ。昔はどうしようもないヘタレたお坊ちゃんだったが今はだいぶ騎士も板についてきた。
遠坂と一緒にいた義勇社員は瀬戸口の姿を見て何故かしまったという顔をした。
「早いですね瀬戸口・・・」
「厚志は?」
「・・・会うんですか」
「当たり前だろう」
何を言っているんだ。瀬戸口は怪訝そうに眉を寄せた。
遠坂は額に手をあて難しい顔をする。瀬戸口は不安になった。
「そんなに大変な状態なのか?」
「いえ・・・ええ、まあ・・・元気、ではあります」
じゃあなんなんだ。瀬戸口はとにかく厚志に会わねばと先に進もうとした。
遠坂が慌てたようにその肩に手を置く。
「待ってください」
「なんだ」
「青は・・・厚志は、我らが王であり使えるべき主です」
「?ああ」
そんなわかりきったことを何故。遠坂は一度息を吸うと正に騎士という顔で瀬戸口を正面から見据えた。
「青に危害を加える者は何人たりとも許しません。例えあなたであろうとも」
「まてこら。何で俺が厚志に危害を加えないといけないんだ」
「私をあなたを信用していません」
「はあ?」
瀬戸口は怒った。何年も一緒に戦ってきた戦友に何を言うんだこいつは。しかし遠坂は真剣そのものである。
そもそも冗談を言うような男ではない。事情あってのことだというのは瀬戸口にもわかっていた。
「いいですか。騎士として振舞ってください。瀬戸口」
瀬戸口は遠坂の気迫に、不承不承頷いた。
その理由を、瀬戸口はすぐに知ることになる。



「厚志!!」

飛び込むようにして部屋に入ると、ベッドに腰掛ける彼の鮮やかな青い髪色が目に入った。
青い瞳がこちらを見る。
「隆之・・・」
声を聞いて瀬戸口は胸を撫で下ろした。一見、危惧したような異常はないように見える。
「心配したんだぞ。一体何が・・・」
近寄ってみてから、何か違和感を感じた。元々細身だが一回り小さくなったような気がする。
それに・・・、
前開きの検査着から覗くそれに目を落として瀬戸口は目をぱちくりさせた。その身から発せられる違和感の正体にやっと気がつく。
そんなまさか。
「・・・じろじろ見ないでよ」
声も、速水のころくらいの高さになっている。匂いも・・・。
「厚志・・・おまえ」
瀬戸口は厚志に視線を合わせると、がっとその胸元を掴んだ。質量のある柔らかな肉。
・・・でかい・・・。
「いや・・・でもやっぱりあんまりかわらな・・・」
目にも止まらぬ速度でみぞおちに拳が打ち込まれた。
血を吐く瀬戸口。


青の厚志は男である。周知の事実。
しかし厚志の性別に関しては、実際はかなり複雑な事情を含む。
瀬戸口が初めて彼に出会ったころ、厚志は男とも女とも形容しがたい身体をしていた。
小ぶりな乳房があり、二次性徴期の少女のような体つきをしながら、性器は雄のものだった。
厚志は芝村舞に惚れていたが、瀬戸口と身体の関係を持っていた。

瀬戸口と厚志の関係を一言でいい表すのは難しい。
ガンプの王である青と、その騎士。上司と部下。表向きはそれだけだ。
5121小隊では先輩と後輩の関係であり戦友だった。
そのころの瀬戸口は失った姫を探して彷徨う心の死んだ鬼だった。そして、そのころ速水と名乗っていた華奢な少年に探し求めていた姫の姿を見た。
そして、惚れた。
自分のものにしたいと願った。身体を重ねて愛を語った。
嘘つきで傷だらけな彼を愛しく思い、人外の英雄に成長していく彼を哀しく思った。
今でも変わったわけではない。
女だったら、自分の子を孕ませていただろうとか。そんなことを望んでいないわけでもなかった。
いや、うん。望まないわけではなかったけどさ・・・・

正直見た目はそんなに変わっていない。全体的に少し小柄になって丸みを帯び、あと、胸が育ったくらいで。
美少年から美少女になった青は二つの乳房を重そうに揺さぶって伸びをした。
「何か丸一日気を失ってたみたいで、皆には心配かけたんだけど。目覚めたらこれだよ」
「他に異常はないのか?」
「今のところはね。戻る方法とかは今調べてもらってる」
声のトーンを懐かしく感じる。速水厚志は女のような声をしていた。その頃に戻ったみたいだ。
厚志は瀬戸口を見て悪戯っぽく笑った。
「心配した?」
「あたりまえだろう。おまえさんが大変なことに、なんて。どんだけのことかと思うだろ。下手したら世界が滅びるとか」
「大げさだなあ」
厚志はくすくすと笑う。
元と変わっていないが、こうして見ると普段の厚志の仕草や笑い方は女性的なんだなと今更ながら思う。
雪のように白い肌に青い髪。横顔は少しだけ線が細くなってるかな。
髪に触れるとくすぐったそうに目を細める。雌のにおい。
瀬戸口の中の本能がざわりと騒いだ。
今は下半身も、身体の中も、女だということだ。そう思うと鼓動が早まる。
厚志の太ももに手を置く。さわり心地が変わったわけではない。しかし。今ここにあるのは・・・
「隆之」
諌めるように厚志が名を呼ぶ。厚志は瀬戸口の目を見てため息をついた。
「駄目だよ・・・・今は。この身体だと妊娠するかもしれないって」
「へえ。・・・妊娠ねえ」
「だから・・・隆之、こら。駄目だってば」
瀬戸口は厚志の股の間へ手を滑らせようとする。厚志は困ったように眉を下げた。
本気で止めたいなら自分を殴り飛ばしでもすればいいのに。
瀬戸口はまた何か言おうとする厚志の唇を塞いだ。厚志の抗議は鼻から抜ける吐息に変わる。
厚志はキスが好きだ。
一度離れて角度を変えてもう一度。下唇を食み、舌先で粘膜をなぞれば体から力が抜ける。
舌を絡めて、歯列をなぞる。舌の裏側を先端で押しながら唾液を流し込むと喉から小さな声があがった。
粘膜と粘膜が触れ合う感触。音。最初はキスを嫌がっていた彼に辛抱強く教え込んだのは誰であろう瀬戸口だ。
「・・・んもう・・・・だめ、だってば」
「なんで?厚志は嫌?」
「嫌とかじゃなくてね・・・できちゃったらどうするのさ?」
厚志は聞き分けのない子供を叱るように言って唇を尖らせる。瀬戸口は笑った。
騎士として振舞ってください。遠坂の言葉が脳内に木霊する。要するに、そういうことだ。
俺のことを信用してないだって?ああ、あいつは俺のことをよくわかってるな。
悪い。俺はな遠坂。騎士の前に、鬼なんだ。
「わかった。じゃあ、中には出さない。それならいいか?」
セックス自体は好きな厚志だ。迷うように青い瞳が揺れる。
「え~・・・でも・・・・」
「なに?」
「・・・僕、今処女だから。君のは・・・お尻ならともかく」
ぷちん、と。瀬戸口の頭の中で何かが外れる音がした。
衝動的に厚志を押し倒し前開きの検査着を左右に広げる。
「ちょっと!」
ぷるんと大きな胸が震える。視線を下げていけば、女性ものの小さな白い下着が極部を覆っている。
誰が買ってきたのか気になるところだが、今は・・・
処女。
厚志は瀬戸口と出会った時、既に犯され開発され尽くしていた。
小さな身体は心ごと傷だらけだった。尻穴は縦に割れて性器と化しており、挿入しただけで達してしまうほど敏感だった。
瀬戸口は厚志の乳房を片手で鷲掴んだ。白く柔らかな肉が手の中でぐにゃりと形を変える。薄ピンク色の尖りを指先で弄びながら瀬戸口は呟いた。
「欲しいなあ・・・厚志の、処女・・・」
「隆之・・・さっきの聞いてた?」
ああ。もちろん。
たわわな感触を楽しみながらもう片手で厚志の股間に触れる。
「ぜったい痛いし・・・んっ・・・」
「あっちゃん、女になってからオナニーした?」
「してない」
ほんとか?と疑いつつ瀬戸口は布越しに厚志の割れ目をなぞった。ひくりと身体が震える。
わざと浅く何度も擦り、それから指を沈める。布が濡れている。
「見てもいい?」
「駄目」
瀬戸口はにっこり笑うと厚志の下着を下ろし、脚から抜き去るとベッドの外に投げた。
蹴ろうとした厚志の片足を掴み隠すものがなくなった箇所を見下ろす。
ふっくらとした恥丘にはうっすらと青い毛が生え、その下に女になった証である溝がのぞいている。
瀬戸口は喉を鳴らすと人差し指と中指でそれを左右に割り広げた。
ぬらぬらとした粘膜が花びらのように開く。嗅覚を刺激するかぐわしい雌のにおい。
淡い綺麗なピンク色をした小陰唇と小さく盛り上がったクリストス。
陰毛の薄さも相まってまるきり少女のそれだ。
「厚志のここ、凄い綺麗」
「やめて・・・よ・・・騎士失格だよ。クビにするよ・・・」
顔を耳まで真っ赤にして厚志が言った。肉のひだで守られたその奥から白い蜜が零れ出している。
「お好きにどうぞ」
瀬戸口は誘われるように厚志の陰部に顔を埋めた。
舌先で花弁を押し広げて蜜を啜ると敏感な陰核を唇で食む。
「あっ・・・ん・・・っ、ばか、感じ、ちゃ・・・ああっ」
ぴちゃぴちゃといやらしい水音が鳴る。粘膜の隅から隅までを瀬戸口の熱い舌で舐めまわされ厚志は身を引き攣らせて悶えた。
とめどなく溢れる愛液を舐めとり、舌先で執拗に膣口を責め立てる。
はくはくと荒い息を吐いている厚志の指先が瀬戸口の髪に触れた。
顔を上げると溶けた表情の厚志が見つめている。いつもの、欲しいとねだる時の表情だ。
瀬戸口は人外のように綺麗に微笑むと紫色の瞳を細めた。
「セックスしようか。厚志」

厚志は堪え性がない。
最初のころはそれでも強がって我慢していた気がするが。
基本的に快楽に弱く、ベッドの上では普段の暴れっぷりは何なんだろうというくらい従順になる。
瀬戸口は厚志の両脚を掴んで割り広げると、勃起した自分の性器を扱き上げた。
「それ以上・・・大きくしないでよ」
「わかってるって」
大きいのが好きなくせに。
亀頭を膣口に押しつける。まだ誰も受け入れたことがないそこは狭く、濡れているとはいえすんなりとはいかない。
瀬戸口はぐっと腰を押し付けた。ずぷりと先端部分が沈み、肉壁を押し広げながら突き進む。
厚志の呼吸が一瞬止まり背筋が反りかえった。
「あっ!!ぐ、ゆっくり・・・・いた・・・・あっ・・・!」
処女膜が破れ結合部分から血が流れる。瀬戸口は厚志の身体を押さえつけるようにして全てを飲み込ませた。
狭くてあたたかい厚志の内部。侵入者の質量に肉がぴくぴくと痙攣している。
ぽろぽろと青い瞳から涙が零れている。宝石みたいだと思った。
「あっ・・・・あ・・・・・たかゆ、き」
「綺麗だよ。厚志」
瀬戸口はそのまま律動をはじめた。最初はゆっくりと。一度引いては押し付ける。溢れる愛液と先ほどの血のぬめりを利用して少しずつ激しく。肉と肉のぶつかる音。
繰り返すと段々と肉が潤んでいくのを感じる。脚を掴んで外性器を圧迫するように腰を打ち付ければ厚志の声が甘みを帯びたものになっていく。この声は、女になっても変わらず瀬戸口の脳髄を刺激し僅かな理性を溶かしてしまう。
瀬戸口は低く唸った。
鬼の本性が顔を出し、駄目だと言われたのに性器は通常の人間のものとは形を変えだす。気がついた厚志が焦ったように瀬戸口の髪を掴んだ。膣内がぎちぎちに広げられる。
「ひっ・・・あっ、あぁあ!!あっ・・・たか・・・いたい・・・っ」
「厚志・・・」
「だめ・・・・あっ、あ・・・!おまんこ、壊れちゃうからぁっ・・・!」
激しく揺さぶられ厚志のたわわな胸が揺れる。それを見下ろしながら瀬戸口は輸送を一層激しいものにした。
痛みに痙攣していた内壁は次第に、巨大な肉棒絡みつくように収縮しはじめる。失禁したかのような量の愛液が厚志の股座から零れ出し痛みを和らげ輸送をスムーズなものにした。
「あ・・ああ・・・・・!!」
瀬戸口は大きく息を吐くと厚志の脚を掴み上げ、肩につくくらい身体を折り曲げさせると深く根元まで挿入した。
そのまま膣内に射精する。厚志の目が大きく見開かれた。
「ちょ・・・や、ばか、何し・・・・あっ・・・熱・・・」
「何って、種付け?」
「だめ・・・だってえ・・・・」
ぐちぐちと擦り付けるように奥を刺激すると厚志の身体が震え内部がきゅうっと収縮した。まだ何度かいけるかな。
瀬戸口は厚志の胸を掴むと両手でゆっくりと揉みしだいた。
「せっかく女になったんだ・・・赤ちゃん産んでくれよ。厚志」
赤ん坊のように乳首に吸い付く瀬戸口を厚志は困った顔をして見つめている。
男だろうと女だろうと愛しいのは変わらない。
だが1000年も待っていたこの機会を、逃すつもりはなかった。
 

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