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性行為とは、無理矢理行われる暴力。蹂躙し、屈服させ、欲を発散する、それだけのための行為。
もしくは、相手の心に取り入って利用するためのもの。
速水を名乗るものにとってはずっとそうだった。
こちらの身体を蹂躙した人間は、口が軽くなる。従順にしてやれば更に。そうしてずっと生き延びてきた。
それ以外の接触を彼は知らなかった。
「やっ!やだ・・やだって!やめて・・・!」
速水は自分の股に顔を埋めようとする男の赤みがかった髪を掴んだ。
こんな風に拒絶の声をあげるのは幼いころ以来だ。
瀬戸口は顔を上げて速水の真っ赤に染まった顔を見ると、優しく笑った。
「セックスは平気なのに、これは嫌なのか?」
すみれの瞳を細める。
ああ、雌のにおいがする。くんと嗅ぐと速水はいやいやと幼い仕草で首を振った。
抱くのは初めてじゃない。
だがズボンを脱がして愛撫してやろうとしたところ、速水は急に抵抗をはじめた。
14歳の少年にしても幼い、くったりした性器に口付ける。
男の熱い吐息が股間にかかる。
速水は長いまつげを伏せて、頭の中の語彙を探って言葉を探した。
「っ・・・だって・・・きた、ないよ」
それが理由なのかはわからなかった。ただ、嫌なのだ。
「恥ずかしいんだ」
瀬戸口は意地悪そうに笑った。速水の青い瞳が揺れる。
恥ずかしい。そう、そうかもしれない。
瀬戸口は速水のほっそりした足を大きく開かせて蕾を見た。
「やだ・・・!」
「かわいいのに」
理解できない。
汚いものを舐めさせられた経験はあるがこんなことされる経験はない。大体なぜそんなことしたいのか。
「・・・セックスしたいなら、挿れればいいでしょ」
それだけでいいはずだ。
気持ちよくなりたいなら後ろにでも、口にでも、挿れればいい。
他の男は皆そうだった。
瀬戸口は速水の言葉に眉を寄せる。
「俺はそういうことがしたいわけじゃないだよなあ」
「だったらなに・・・」
瀬戸口は速水の蕾に舌を這わせた。ぬるりとした熱い感触が不浄の穴を這う。
速水は羞恥で真っ赤になってわめいた。
「ひっ、やだ!あっ・・・やめて、なんで・・!」
「ん・・・かわいいからに決まってるだろ」
「な、にそれ」
瀬戸口は答えず、再び舌を這わせた。
脚の間で瀬戸口の頭が動く。ぴちゃぴちゃという水音。熱い舌が這って、肉の襞をたどって浅く侵入する。
きゅっと中が締まるのを感じた。
「ひゃっ・・・や、やう・・・や、やだあ・・・」
息があがる。中が疼いて、身体が震える。
前立腺を弄くられているわけでもないのに身体が熱くおかしくなる。恥ずかしい。そんな汚いところをどうして。
「や・・・瀬戸口・・・」
執拗に舐め回されて、速水はついに泣き出してしまった。耐えきれず涙がこぼれる。
ぐすぐすというすすり泣きを頭の上で聞いて、瀬戸口は顔をあげた。スミレ色のたれ目で優しく笑う。
「すまん。・・・そんなに、嫌?」
「やだって・・・さっきからいってるのに、ばか・・・」
泣きながら言う速水はかわいい。いつもよりも更に幼く見える。
瀬戸口は速水の上に乗り上げると頭を撫でた。
「・・・お尻、舐められるのは・・・や・・・」
「じゃあ速水はどうされるのが好き?」
どうされる・・・?好き・・・?
速水は自分の心に問いかけて、首を振った。
「おれは・・・そんなの、かんがえたこと、ない」
速水は自分の過去に思いを巡らせる。そんな選択肢はなかった。